子育てには正解なないと言われていますが、それでも直面する子育て問題に対して正しい対応ってあると思いますよね。
今回は、その正しい対応の手助けになるように、子どもの発達や心理に関する内容をお伝えします。
今回お伝えするのは0歳の1年間の発達についての内容になります。
子供がこれから成長していく過程で、いつ・どのような問題や課題に直面するのかを事前に知っておけば、余裕を持って、正しい対応をする手助けになりますので、ぜひ読んでみてください。
0歳時期における基本的な発達心理
まずはじめに0歳時期は発達の面から見てどのような時期かを知っておきましょう。
この時期は、自分を保護してくれる人、いわゆるお父さんやお母さんと接していくことで、自分が生きているこの世界が信頼できるものであることを理解する時期です。
これを基本的信頼と言います。
そして、反対に信頼できないと感じる体験、いわゆる基本的不信というものを体験し、それを乗り越える経験から、希望という人格を育てていくための大切な活力を得る時期でもあります。
0歳がどのような時期かを理解していただいたところで、次からは0歳時期の発達や心理について詳細にお伝えしていきます。
発達1:赤ちゃんはそれぞれ気質が違う
赤ちゃんは生まれたばかりであってもみんな同じではなく、一人ひとり違う気質を持っています。
例えばよく泣くタイプか、泣かないタイプか、周りからの刺激や声かけに敏感なタイプか、鈍感なタイプか、よく動くタイプか、あまり動かないタイプかなど、これらは一例ですが、赤ちゃんはみんな異なります。
これらは持って生まれたものではありますが、過剰に気にする必要はありません。
この気質は親の関わり方や環境の影響を受けながら変化していくものなので、他の子と比べずに、この子の個性と思って関わっていくことが大切です。
発達2:泣く
この時期の赤ちゃんはとにかくよく泣きます。
赤ちゃんの泣きに多くの人が苦労し、さらに夜泣きいつになったら落ち着くのと悩んでしまう方も多いと思います。
ですが、この時期の泣くという行為は、赤ちゃんの発達にとって非常に重要なことです。
冒頭で0歳の1年間は基本的信頼を育てていく時期だとお伝えしましたが、この基本的信頼を作るための行為が泣くことなんです。
赤ちゃんは泣くことでしか、自己主張ができません。
その泣くという自己主張に対して、パパやママがどうしたの?お腹すいたの?と反応してくれることや、抱っこをしてくれることで、パパママが自分に関心を持ってくれていることを理解します。
それによって、満足感と安心感を繰り返し得ることで、信頼関係を築いていきます。
これを発達心理学では、愛着と呼びます。
つまり、泣くということは問題行動ではなく、パパやママにたくさん話しかけてきてくれているのと同義であると理解していくことが大事です。
大変かもしれませんが、無視をしたり、放っておいたりせず、何度も対応してあげましょう。
発達3:クーイングと喃語
生後1ヶ月くらいから3ヶ月くらいまでの赤ちゃんは「あう」というように、喉を鳴らすような声を発しますこれをクーイングと言います
そして、4ヶ月くらいからは「バー」「あぶ」というような何かを伝えるような声、いわゆる内語を発するようになり、6ヶ月くらいからは「まま」とか「だだ」といった同じ音を反復した声、いわゆる反復喃語を出すようになっていきます。
そして、ちゃんと意味のわかる言葉として、発することができるようになるのが大体1歳くらいに入る頃であることが多いです。
脳の成長を促進したり言語習得を促進したりしていくためには、喃語への対応方法が非常に重要になってきます。
その具体的な対応方法に関しては、こちらの記事にまとめていますので、ぜひ併せてご確認ください。
発達4:愛着行動
先ほど泣くことに対応することで、愛着を築くことができると伝えしましたが、他にも赤ちゃんが愛着を築くためにしている行動があります。
それを愛着行動と呼びます。
例えば、微笑む、 手足をバタバタさせる、喃語を発する、動くものを目で追う(注視行動)、しがみつく、パパママに近づく(接近行動)等があげられます。
生まれてから2、3ヶ月頃までは泣いたり、周りの人に視線を向けたり、手を伸ばしたりするような愛着行動が中心です。
そこから6ヶ月頃までは身近な人に対してのみ目で追ったり、声を発したりし始めます。
6ヶ月以降は接近行動で愛着形成をすることが多くなっていって、ママと離れると後を必死に追っていったり、泣き叫んだりするようになります。
これは、ママやパパを自分にとって安全な場所だと認識し始めて、それを求めるために出る行為です。
これらはもちろん全て問題行動ではありません。
ですので、成長している証拠だと思って対応していきましょう。
この愛着行動にできる限り応えていくことで、子供の精神の安定に繋がっていきます。
発達5:注視
0歳はいろんなものを見て、目から良い刺激を得ていくことが大事な時期です。
ある心理学者が行った実験で、乳幼児は様々な図形の中で人の顔に近い図形を注視しやすく、そして人の顔そのものを最も注視することがわかってます。
赤ちゃんは、人の顔を好むってことですね。
ですので、物をたくさん目の前で見せることよりも、パパやママの顔を見せてあげて、注視する練習をしていくことが大切です。
発達6:新生児微笑と社会的微笑
生まれたばかりの赤ちゃんは、寝入る時や寝ている間にほんの1,2秒ほどですが、目を閉じたままにっこりすることがあります。
これが新生児微笑というものです。
本当に可愛いですよね。
新生児微笑は面白いことや、嬉しいことなどの外的な刺激を受けて笑っているのではなく、反射的に起こるこの時期特有の生理的な笑いと言われます。
それに対して生後3ヶ月くらいから6か月くらいの頃から見られるのが社会的微笑です。
社会的微笑というのは、パパやママなど信頼できる身近な人からの働きかけ、すなわち外からの刺激に対する反応として微笑み返すことを言います。
この時期に大切なのは、赤ちゃんと目を合わせるときに、にこっと微笑んであげることです。
赤ちゃんは見たものをビデオカメラで録画してるように吸収していきます。
たくさんのパパやママの笑顔を記憶させてあげると、笑顔の多い、表情豊かな子に育っていきます。
発達7:人見知り
人見知りが始まるのおおよそ2か月〜6か月くらいの間です。
人見知りは身近な人と、そうでない人を区別できるようになった証拠であり、身近な人、つまりパパやママをとの信頼関係を築きつつある証拠でもあります。
1つ成長した証拠ですので、喜んで良いことだと思いますよ。
発達8:直接模倣
0歳の赤ちゃんは大人の行動をその時にそのまま模倣できる力が育っています。
これを直接模法と言います。
例えば、離乳食を食べさせる時に、大人があーんと口を開けると、真似してあーんと開けることができるようになってきます。
ですので、0歳の時ははとにかく親が見本を見せながら行動を進めていくことが大切です。
ただし、0歳の赤ちゃんは1度真似した行動を覚えておいて、時間が経ってから繰り返すことは難しいため、何度も何度も繰り返し見せていくことが大切です。
発達9:同時に関心を向けられる対象が増える
9ヶ月くらいまでの赤ちゃんは自分とパパ、自分とママ、あとは自分とおもちゃのように、1対1の関係までしか理解ができません。
それが9ヶ月くらいになると、自分とおもちゃとパパというように、3つの関係を理解できるようになってきます。
例えば、9ヶ月まではお父さんがボールを渡すと、ボールのみに意識がいって、ボールを必死に触ろうとしますが、9ヶ月くらいからはボールを受け取りながら、お父さんの顔を見て、その意図を理解しようとしたりすることができます。
このように、少しずつ、同時に関心を向けられる対象を増やしていきます。
発達10:安全基地
0歳は愛着を通じて基本的信頼を育てていくことが大切だとお話しました。
その基本的信頼を積み重ねていくうちに、パパやママを安全基地として確信できるようになります。
パパママは絶対に私が守ってくれる、困ったら必ず助けてもらえる、というように、子供にとって安心できる場所になるということです。
この安全基地があり、何かあったら守ってもらえるといった確信を持つことができるため、パパやママから離れてお友達の輪にひとりで入っていって遊ぶことができるようになってきます。
これを探索行動と呼びます。
ですので、幼児期の子供が外の世界になかなか出ようとしない場合、親としてどうすればいいかというと、たくさん愛着行動に答えてあげることが大切なのです。
間違っても、自立させることが大事だと考えて、甘えさせないように子供と距離を取ったり、抱っこをしなかったりといったことはすべきではありません。
それをすると、ますます外の世界の探索ができなくなっていってしまいます。
なんでもしてあげるということではありませんが、求められたら無視しないで、関心を向けてあげることが大切です。
発達11:社会的参照
1歳手前の子供は、自分では判断できないような未知の事態に直面した時、周りの反応を見て、自分の行動を決めることができるようになります。
例えば、 転んでしまった時に「大丈夫だよ」と言ってあげれば、大したことじゃないと思って立ち直りますが、逆に周りが大騒ぎして「痛かったでしょ」と言えば大騒ぎする、というように、周りの反応で自分の取るべき行動を変えていくことができるようになっていきます。
これも成長のひとつの証です。
この社会的参照は0歳だけでなく、幼児期の間はずっと強く影響します。
また、個人的な意見ですが、この社会的参照は言葉に対してよりも、親の心とリンクしてると思ってます。
言葉では「大丈夫だよ」と言っていても、親が本当に大丈夫だと思っていなければ、子供はその心を読み取って泣き出してしまいます。
単純に大丈夫だよと言えばいいかというわけではないってことですね。
ですので、0歳だけでなく、幼児期の子育ては親の『何があっても大丈夫』という心持ちが大切だと思います。
『何があっても大丈夫』の心を社会的参照することで、ちょっとのことでは動じない子に育っていくと思います。
さいごに
今回は0歳の発達や心理について、重要なポイントをお伝えしました。
子育ての参考にしていただけたら嬉しいです。